2020.11.12

駄菓子とビールとコーヒーの黄金比を追求する「ちいとこ商店」のこだわり。

2020年7月、下諏訪に「駄菓子とビールとコーヒーの店 ちいとこ商店」がオープンしました。「商店」という名の通り、子どもから大人まで楽しませてくれる駄菓子、ビール、コーヒ、そしてやさしい空間が広がっています。誰もが安心して過ごせる場所を目指し、伊藤ご夫妻が二人三脚で切り盛りするLocalSmallShopの運営秘話を伺いました。

Q .お店の紹介、自己紹介をお願いいたします。

駄菓子とビールとコーヒーの店 ちいとこ商店の伊藤慎太郎です。駄菓子とクラフトビールとエスプレッソコーヒーが楽しめる駄菓子屋です。お店は僕と妻、二人で切り盛りしています。子どもだけでも、大人だけでも、とにかく誰もが楽しめるお店にしたいと思って始めました。「ちいとこ商店」っていうのは僕たちがつくった言葉ですが、「ちょっとしたところ」という意味。気軽に来れて気軽に帰れるお店をやりたいと思ってつけました。「ちいとこ」っていう響きも可愛いし、妻も僕もとても気に入ってます。

Q .なぜ駄菓子?

「誰もが気軽に来れるお店」と考えたときに駄菓子がとてもよい存在だと気づきました。その発想にたどりついたのは、妻の実家が駄菓子問屋なのと自分たちの思い出に深く残っていたからなんです。

僕は東京・浅草出身なんですが、小さい頃、学校が終わるとランドセルを置いて駄菓子屋に集合!なんてことをよく友達としていました。集まればすぐに「何して遊ぶ?」といった会話が自然にでてくる。僕たちが通った駄菓子屋はコミュニケーションが生まれる場でもあったんです。妻と出会ってお店を真剣に持とうと考えた時、老若男女、いろいろな人の会話のきっかけになる駄菓子は扱おう!とすぐに決まりました。それに大好きなビールとコーヒーだけのお店だと、来れる人たちが限定されちゃうと思ったんです。駄菓子屋さんだったら子どもだけでも来れますし。なので、店名の最初にもつけたように、僕らはビール屋さんでもコーヒー屋さんでもなくて、「駄菓子屋」だと思ってお店を切り盛りしてます。

Q .なぜ下諏訪に移住と開業を?

下諏訪には、結婚後、2019年の11月に引っ越してきました。移住前は都内に住んでいたんですが、子どもが生まれるとわかったときに、妻と二人で考えていた開業を決意しました。子育てする上で東京よりも自然があってのびのびと過ごせるような場所、開業に適した場所…。

そんな時、パッと浮かんだのが下諏訪町でした。実は2017年ぐらいから下諏訪には度々訪れていたんです。妻の友人がいたので東京から何度も遊びにきてました。来るたびに、街の雰囲気や町の人が好きになっていきました。それにこっちでできた友人たちに、僕たちがやりたいお店について話していると、すごく親身になってアイデアや意見をくれる人が多くて。「下諏訪町なら子育ても開業もきっとうまくいくんじゃないか」っていう直感みたいなものがありました。

そう思っていたら、ちょうどよく空き物件が出たんです。これも移住の決め手でした。

Q .物件について、教えてください

移住を決めてから1ヶ月に1回はこっちに通っていたんですが、なかなかいい場所がなくて。そんな時、地域おこし協力隊の方が御田町商店街の方を通してこの物件を紹介してくれたんです。この御田町商店街っていうのはそもそも不動産情報にはあまり掲載されていないんです。管理人さんがこの人だったらいいよって言ってくれない限り、紹介できないらしいんです。人とのつながりや出会いによって育まれている物件エリアだと思います。

御田町で暮らし・商売ができると決まったときは、ご縁というか運命というか、本当うれしかったです。

Q .駄菓子へのこだわりポイントは?

子どもの頃の思い出の味、あとは妻の実家の問屋さんと色々相談しながら仕入れています。さすが問屋さんなんで今の流行やオススメ商品の情報があるので助けてもらっています。あと、駄菓子って子ども達はもちろん、大人の方たちになかなか好評なんです。昔よく行ったな、とか、こんなもの買ったなとか思い出話をしながら一緒になって楽しんでいます。だから、大人も子どもでもも楽しめる商品ラインナップを意識して仕入れています。

Q .ビールへのこだわりは?

僕と妻が好きな銘柄、好きな醸造所から仕入れています。

10㍑から15㍑の樽生のビールを常時4種類、開栓しているんですが、どれかなくなったらあたらしい銘柄にします。だから、来るたびに新しいビールとの出合いがあると思います。僕のこだわりとしては、お客様が自分の好きなビールをみつけてもらって、飲んでもらえたらなと思っています。

「今までビールって得意じゃなかったけど、おいしいね」って言ってもらいたんです。どんな方が来てもお気に入りのビールをみつけてもらえたらいいなと思っています。

Q .ビールがお好きなんですね?

大好きです!

ビールが好きすぎて絶対将来は自分の商売にしようと思っていたほどですから。若い頃は、もう僕にはビールしかないって、思った時期もあります。

開業する前は、アパレル業界にいたんですが同僚と行ったパブのような場所で飲んだビールが衝撃的だったんですよ。25〜26歳の頃です。いまでも鮮明に覚えていますが、ハマるきっかけになったビールは、小麦を使ったベルギーのヒューガルデンホワイト。コリアンダーとオレンジピールを使っている香り豊かなビールです。大手のラガーしか飲んだことなかった僕が、そこでビールに出会って、人生変わっちゃいましたから。

色んな味、香りがあるって知ったらもっともっと知りたくなっちゃって。ビールって世界中で飲まれているし、味も香りも全然違うんです。味の多様性があるのでそこが楽しいところだし、気軽なお酒であるところがまたいい! 絶対、将来は自分の好きなビールを売りたいって、モヤモヤしながらアパレル業界にいました。いままで4000種類以上は飲んできました。もっと飲んでるかもしれません。

Q .コーヒーについて、教えてください。

妻がもともとコーヒー店として開業する夢を持っていたのでコーヒーにもこだわりを持っています。使っている豆は上諏訪のアンバードさんと打ち合わせを繰り返してつくったオリジナルの「ちいとこブレンド」です。 

コーヒーもビールもある、お客様がそれぞれ好きなもので楽しい時間を過ごせる、夫婦それぞれの得意分野で楽しんでもらうのが「ちいとこ商店」です。やっぱり誰が来ても楽しめるお店にしたかったのでコーヒーも、ビールも扱っています。あと自家製レモネードもとても人気で、お酒、コーヒーが飲めない方、妊婦さんにもぜひオススメしたいです。

Q .お店づくりへのこだわりを教えてください。

開業とほぼ同じタイミングで子どもが生まれたこともあり、店づくりは自分たちが欲しい空間を形にしていきました。授乳スペースと小上がりは、絶対に作りたいと思っていた空間です。やはり子どもが小さいとなかなかいけるお店がないんですよね。それに授乳中のお母さんや小さいお子さんがいるお母さんはお店に行っても全然ゆっくりできないんです。この和室のようにちょっとした小上がりがあると、子どもを遊ばせたり、まだ立てない子は寝かせてあげられますから。授乳室を作ったのもそんな「あったらいいね」を実現させたかったからです。授乳室やおむつ替えできる空間があるだけで安心していける、というのが自分たちの実体験です。たくさんのお母さんたちに利用してもらっているのでそんな光景を見るのも嬉しくなります。

Q .これからどんなお店であり続けたいですか?

営業を始めて3ヶ月(取材時2020/10.20)ですが、地元の人達、地域の人たちがとにかく楽しめる場所でありたいと思っています。町のお店でありたいんです。僕らが小さいときに過ごしたような、挨拶やコミュニケーションが自然に生まれるような空間にしていきたいです。家でも学校でも職場でもない場所というか、第三の場所ですかね。ここに来てもらえれば、誰かいるし、ほっとできる、安心できる存在でいたいなって思います。子どもにもとっても大人にとっても、です。もちろん、僕の家族にとってもそんな場所にしていきたいと思っています。

(内容は2020年10月取材時の情報です)

【店舗詳細】

ちいとこ商店
Instagram▶︎ https://www.instagram.com/chiitoko_shouten/
Facebook▶︎ https://www.facebook.com/chiitoko/
営業時間:10:00〜22:00(火曜定休/不定休あり)
コーヒーラストオーダー19:00/その他ラストオーダー21:30
住所:長野県諏訪郡下諏訪町御田町下3217-5
駐車場:近隣の「四ツ角駐車場」をご利用ください
プチ情報:子連れOK/小上がり・授乳室あり

OTHER ARTICLES